今から1年半前、2015年(平成27年)6月末の話。
久々に京都府宇治市の仏徳山を登り、大吉山展望台からの眺望や遠景を楽しみました。
夕暮れ時に訪れたので、時間帯的にはトワイライトハイキング、サンセットハイキングと言えるでしょう。
仏徳山は宇治上神社さんや興聖寺さんの裏山にあたり、一般的には「大吉山(だいきちやま)」と呼ばれますが、地理院地図や東海自然歩道の道標では「仏徳山(ぶっとくさん)」の山名を採用しています。
付近は「大吉山風致公園」として整備されており、北西の山肩には見晴らしの良い「大吉山展望台」が所在します。
今年、2016年(平成28年)の春頃から、宇治市や大吉山展望台、それに、仏徳山に隣接する朝日山の話を頻繁に取り上げていますが、2013年(平成25年)1月に登って以降、約2年半ほど訪れておらず、2015年(平成27年)6月は「久々」の仏徳山ハイキングでした。
内容を慎重に検討する必要もあり、この日の話は長らく積み記事として放置していましたが、ちょうど良い機会ですので、そろそろ公開しておきます。
2013年(平成25年)1月に大吉山展望台を訪れ、六甲山や夕日を撮影した話は上の記事に。
この記事がそもそもの始まりでした。
目次
『響け!ユーフォニアム』と大吉山
その後、2015年(平成27年)4月より宇治市の周辺を舞台としたテレビアニメーション『響け!ユーフォニアム』の放映が始まり、8話(第8回)で作品の登場人物が大吉山展望台をナイトハイクしたことから、地元の方や夜景趣味の方以外にはあまり知られていなかった里山が注目を集め、私が公開していた上の記事に対するアクセスが急増しました。
私も『響け!ユーフォニアム』を視聴し、件の8話で描かれた「夜の山」の美しさや、「特別」な演出はもちろん、全話を通じ、そのストーリーや背景美術に魅了されてしまい、テレビアニメ1期の放映が終了した直後、2015年(平成27年)6月に大吉山展望台を訪れた次第です。
2012年~2013年頃に「あべのハルカスがどこから見える」かを調査していた関係で、あくまでも計算上の話ではありますが、大吉山展望台も大阪の超高層ビル「あべのハルカス」や、それに明石海峡大橋の主塔が見える可能性があることを把握しており、それらが実際に見えるかどうか、実地で調査・検証したいと考えていたこともあります。
梅雨時ということもあり、この日はお昼頃に近畿地方の各地で雨が降っていました。
京都と大阪を分ける天王山の周辺も大荒れのお天気だったと他の方からお伺いしていましたが、私が宇治を訪れた夕暮れ時にはすっかり雨も止んでいました。
湿気が残りやすいのが難点ですが、雨の後は塵や芥が落ちており、綺麗な夕景を拝めるかもしれません。
京都府宇治市 大吉山展望台

雨上がりの大吉山展望台。『響け!ユーフォニアム』の放映終了直後。京都府宇治市。
すでに記憶が曖昧ですが、写真では地面が濡れているようにも見えますね。
大吉山展望台は『響け!ユーフォニアム』の「聖地探訪」「聖地巡礼」的な行いの対象となりやすく、いつ訪れても作品ファンが集われている印象を受けます。
お天気が今ひとつだったからか、この日はそうでもなく、若い女性がお1人いらっしゃるだけでした。
その方と展望を楽しみます。
今回は2015年(平成27年)6月に大吉山展望台を訪れた日の話を記事にしていますが、その後も『響け!ユーフォニアム』と関連して何度か大吉山展望台を訪れています。
2015年(平成27年)8月に大吉山展望台を訪れて、遠くで上がる花火を撮影した話は上の記事の後半に。
作品と深く関わりがある「県祭り」(あがた祭り)の時期、2016年(平成28年)6月に大吉山展望台を訪れた話は上の記事に。
仏徳山や、隣接する朝日山の歴史や由来について、それなりに深く掘り下げていますので、本記事や他の記事と合わせてどうぞ。
テレビアニメ2期(セカンドシーズン)にあたる『響け!ユーフォニアム2』 は2016年(平成28年)10月より放映中で、今後の展開も楽しみです。
これは上で述べた「ちょうど良い機会」とも関係しています。
2016年(平成28年)12月9日、追記。
公式サイトで次回あらすじが公開されたので、もう書いても構わないでしょうが、2期では来週放映が予定されている11話(第11回)が大吉山エピソードになります!
あらすじ
(中略)
困惑する久美子を麗奈は夜の大吉山に連れ出す。第十一回 はつこいトランペット:STORY | TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』公式サイト
http://anime-eupho.com/story/11/(リンク切れ)
予告の場面カットをよく見ると、観流橋から望んだらしき十三重石塔も描かれていますね。
追記終わり。
宇治川を照らす夕日

大吉山展望台から小塩山に沈む夕日と宇治川を望む。京都西山や北摂山系、六甲山系を展望。
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
摩耶山 | 58.4km | 702m | 兵庫県神戸市灘区 | |
六甲山最高峰 (六甲最高峰) | 51.8km | 931.3m | 兵庫県神戸市北区 兵庫県神戸市東灘区 | 六甲山地最高峰 |
石堂ヶ岡 | 28.5km | 680.1m | 大阪府茨木市 (大阪府豊能郡豊能町) | |
ポンポン山 (加茂勢山) | 17.9km | 678.8m | 京都府京都市西京区 大阪府高槻市 | |
小塩山 | 18.0km | 642m | 京都府京都市西京区 |
大吉山展望台は南から北西方面が開けており、奈良の生駒山から京都南部にかけてを広く見渡せますが、上の写真は主に西~西北西向きを中心とした展望です。
六甲山は厚い雲に覆われていたものの、それと比べれば西山の上空に雲は少なく、小塩山の北に沈む夕日を拝むことができました。
ちょうど、雲の切れ目に吸い込まれるように太陽が落ちていきます。
宇治橋が架かる宇治川の水面も綺麗に照らされていますね。
六甲山だけではなく、ポンポン山や石堂ヶ岡といった北摂山系でも標高が高い山の山頂域も雲の中に隠れており、どうにも見映えがしません。
ですが、遠くの山影まで色濃く明瞭に見えており、空気が澄んでいることは確かです。
往々にして、こういった条件の日は遠くまで見えやすく、遠望には適さない夏の空とはいえ、大吉山展望台から明石海峡大橋まで見通せるかもしれないと期待します。
国土地理院が提供する「基盤地図情報(数値標高モデル)」+「カシミール3D」による見通し判定によると、あくまでも計算上では「大吉山展望台から明石海峡大橋の北主塔(神戸市側の主塔)が見える」ことが分かります。
ですが、間に建つ建築物や丘陵の木立などに遮られる可能性もあるでしょう。
この日の条件であれば、実際に明石海峡大橋の主塔が見えるか、あるいは見えないか確認できそうです。
視点を摩耶山の左に移します。
明石海峡大橋は宇治の仏徳山から見える?

京都宇治の仏徳山(大吉山展望台)から明石海峡大橋は見える?
神戸須磨の横尾山や吹田万博記念公園の「太陽の塔」は見通せますが……。
主な山、建築物 | 距離 | 標高 (地上高) | 山頂所在地 |
---|---|---|---|
横尾山 | 69.2km | 312.0m | 兵庫県神戸市須磨区 |
高取山 | 66.9km | 328m | 兵庫県神戸市長田区 (兵庫県神戸市須磨区) |
太陽の塔 | 27.3km | (70m) | 大阪府吹田市 |
万博記念公園の「太陽の塔」は見えていますが、日が差さないと場所が分かりにくいです。
市立吹田サッカースタジアム(→パナソニックスタジアム吹田)の建設が急ピッチで進められており、工事に伴う大型クレーンも写っていますが、「EXPOCITY(エキスポシティ)」の大観覧車「OSAKA WHEEL(オオサカホイール)」の建設はこれからで、まだ宇治から姿を確認できません。
現在、上の写真と同じ構図で写真を撮影すると、目立つ巨大な観覧車が写ってしまうので、そういった知識を有する人が見れば、2016年(平成28年)以降に撮影した写真だと分かってしまいます。
1年後の2016年(平成28年)6月、澄んだ青空の下で完成直前の大観覧車や六甲山などを撮影した話は上の記事に。
「太陽の塔」も上の記事に掲載している写真のほうが場所が分かりやすいですが、日中の高い気温により大気が揺らいでます。
その遠方には六甲山系の西部が見え、地平線の向こうには須磨の横尾山や高取山の山頂域が覗いています。
間に立ち並ぶ建築物の影響で、横尾山は事前のシミュレーションよりも随分と低く感じ、この時点で明石海峡大橋の主塔は(ほぼ)見えないだろうと予想できます。
横尾山の左手前には高槻市前島に所在するクリーンセンターの煙突(高槻CC第二工場の煙突)が聳えています(→2019年に第三工場も竣工し、名称もエネルギーセンターに変更)。
計算上では煙突や横尾山より左手の奥に明石海峡大橋の北主塔が見えるはずですが、実地で撮影した上の写真で検討するかぎり、残念ながら(ほぼ)見えないようです。
ただ、矢印で指し示している先に主塔の先端らしき影が写っているようにも感じる、ぎりぎり上端だけですが、これは高さ的にも一致しますので、主塔が全く見えないと断定するのも難しいです。
「間を遮る建築物等が無ければ大吉山展望台から明石海峡大橋の北主塔が見える可能性は高いが、現状ではほぼ見えない」とだけ。
明石海峡大橋の左(南)には淡路島が所在しますが、そちらはどうでしょうか。
計算上では淡路島でも北部、津名山地(北淡山地)の標高が高い山を大吉山展望台から見通せます。
明石海峡大橋の主塔と異なり、こちらは高さに余裕があり、おそらくは見えるでしょう。
視点を左へ動かします。
淡路島は宇治の仏徳山から見える?

大吉山展望台から淡路妙見山を遠望する。京都宇治の低所から淡路島は見える?
主な山 | 距離 | 標高 | 山頂所在地 | 備考 |
---|---|---|---|---|
妙見山 (淡路妙見山) | 90.9km | 522m | 兵庫県淡路市 | 津名山地最高峰 |
常隆寺山 (伊勢ノ森) | 92.1km | 515.1m | 兵庫県淡路市 |
上部のみですが、妙見山や常隆寺山といった山々を見通せました。
標高100m程度に過ぎない宇治市の低山から、遥か大阪湾を越えた先が見えると気付く方は少ないでしょうが、「宇治の大吉山展望台から淡路島の山が見えます」。
もちろん、京都側から淡路島の島影を望めるのは空気が澄んだ日に限られており、普段から日常的に見えるわけではありません。
また、間を高層建築物等で遮られると、いずれ見えなくなる可能性もあります。
常隆寺山は手前の送電鉄塔ではなく、遥か遠方にうっすら見える山影です。
左端に写っている国会議事堂のような外観の建築物は大阪工業大学さんの枚方キャンパスで、実に多くの山の上から望むことができます。
所在地は大阪府枚方市とはいえ、京都府八幡市との府境に接しており、宇治市からはそう遠くありません。
意外に思われるかもしれませんが、この建築物は滋賀県大津市の逢坂山(相場山)からでも見通せます。
大吉山展望台から比較的近くに所在する、宇治市と京都市伏見区の境に所在する日野岳からであれば、明石海峡大橋の主塔や淡路妙見山を、より分かりやすく望めます。
日野岳パノラマ岩の展望は上の記事に。
淡路島の見え方を比較すると面白いです。
話が長くなってきました。
整理の都合で記事を分けます。
続きは上の記事に。
はたして、大吉山展望台から、大阪の超高層ビルまで見通せるのでしょうか?
追記
大吉山から「大阪湾の海面」は見えません
念のために追記しておきますが、須磨の山や淡路島の山の上部が見えるのみで、大吉山展望台から大阪湾の海面(水面)は見えません。
間を建築物が遮るだけではなく、それ以前の問題として、地球が丸い(厳密には異なりますが、球である)ため、大阪湾の地表面(海面)は地平線(水平線)の向こうに隠れてしまいます。
大気差(地平大気差)を考慮しなければ、立脚点=大吉山展望台から見て、約37km先で地平線に達します(が、観測時の気象条件により微妙に変化します)。
大吉山展望台から大阪湾の海面は見通せないと、わざわざ念押しするようなことを書くまでもないと考えていましたが、どうやら勘違いなさる方もいらっしゃるようなので、いちおう。
関連記事 大吉山サンセットハイク
すべて同日の山行記録です。併せてご覧ください。
- 宇治の大吉山展望台から明石海峡大橋や淡路島は見える?
- 宇治の大吉山から大阪の高層ビル群やハルカスは見える?
仏徳山(大吉山展望台)(地理院 標準地図)
「仏徳山(ブットクサン)(ぶっとくさん)」別称として「大吉山(ダイキチヤマ)(だいきちやま)」
標高131.6m(三等三角点「旭山」)
京都府宇治市
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